地球温暖化に耐えるサーモン養殖
幻の魚を取り戻す
株式会社Smolt(創業:2019年、本社:宮崎県、以下同社)は、地球温暖化による生息数の減少で今や環境省から準絶滅危惧種に分類されているサクラマス(サケ目サケ科)を、高水温耐性を有するように品種開発を継続しつつ逐次市場にも提供しているそうです。
開発と言っても決して遺伝子組み換えなどの人工的・科学的な処理を施すようなことではなく、本来の生態・習性を損なわず、天然の習性と同じように淡水で生まれた稚魚を一定期間海水で育て、再び淡水で育成するという同社が開発した循環養殖技術により育てられます。この循環養殖技術を駆使しつつ、温暖環境に強い”血筋”を持つサクラマスを選択的に交配・養殖を繰り返して得られた ”強い”サクラマスを同社は「本櫻鱒®」と名付けています。
我が国の魚介類収穫量は、長期的に見て減少傾向にあるそうです。とりわけ,サケ、サンマ,イカなどの漁獲量の減少率は大きいと言われていますが、サケの人気に衰えはなく我が国は多くのサケを輸入に頼らざるを得ないようです。サケ類の中でもサクラマスの国内流通量は僅か0.3%と言われており幻の高級魚とされているとのこと。 Smolt社の活動は、幻の高級魚が絶滅危惧種となる前にその生息域・養殖域を拡大し自給率を上げ持続性を保つ試みとも言えます。
サケ類、それも日本の海域に多くみられていたサクラマスが、幻でなく普通の魚となり、ひいては、日本独自の養殖技術によるサクラマスとして国内はもとより海外にも流通するようになる日が来ることを期しつつ、同社の益々のご活躍を祈念しております。(AS)