コンクリートの力!
脱炭素社会へ向けて
創業以来コンクリート一筋、しかし文字通りの堅い会社ではありません。ここに紹介する會澤高圧コンクリート株式会社(創業: 1935年、本社:北海道苫小牧市、以下同社)のウェブサイトには楽しい驚きが満載です。 コンクリートを軸に広げる同社事業の多様性と柔軟性には目を見張ります。
その多様な事業を支える同社のユニークなコンクリート造りを同社ウェブサイトから拝見しました。
- 先ず筆頭に挙げたいのが自己治癒するコンクリートBasilisk:これまでコンクリート寿命は粗50年と言われてきました。この寿命を半永久的に伸ばすことが出来ないか、様々な実験と模索が続けられたそうです。その結果、同社はバクテリアの代謝の力でひび割れを自ら修復する自己治癒コンクリートの量産化に成功。世界初だそうです。このことは、単にコンクリートの寿命が伸びるだけではありません。自ずと地球資源の節約につながります。コンクリート製造頻度も大幅に減少するため二酸化炭素排出量をも減少させることにもなります。(註:コンクリート1トン製造するのに排出する二酸化炭素は0.8トンと言われるそうです。)
- MiCon Technology: コンクリートへの廃プラ固定化技術だそうです。廃プラのアップサイクルと同時に廃プラ焼却が止まるためCO2を削減することが出来ることになります。従来の強度を維持出来る由。
- CarbonCure:液化CO2 を生コン製造に取り込み、ナノ鉱物を生成させ、CO2の主要な排出源であるセメント量を削減する技術だそうです。従来強度を維持。
上記3点は夫々異なる特徴を有しますが、共通点はCO2削減に貢献できるということと理解しました。このCO2削減に対する同社の取り組み目標は壮大です。今年2024年4月に、グリーンアンモニア製造艦「MIKASA」の実証艦建造を進める「MIKASA製作委員会」の概要を発表。コンクリート製の同艦の上には、風力発電機とそこから得られる電気を使用してアンモニアを生成する設備が搭載されています。アンモニアを陸地に運びLED光触媒により低コストで水素燃料を作り出すプロセスも提案されています。実現すれば全プロセスをCO2排出ゼロでクリーンなエネルギー生成を可能となるそうです。「MIKASA」艦を全国各地の海域に配備すれば、クリーンエネルギーの供給源を全国展開可能となりそうです。
更に、今年9月には米国MITと組んで50社を募り蓄電コンクリートの社会実装計画を発表。再生可能エネルギーには蓄電池は必須となります。ここまで見てきたように同社の目標は同社の根幹をなすコンクリートを使用しつつも全工程の総和としてCO2排出をゼロ又はマイナスとすることを目指しているようです。
同社は、「2019年より当社では、『脱炭素第一(Decarbonization First)』を掲げ、2022年には、2035年までに温室効果ガス(GHG=Greenhouse Gasの略)のサプライチェーン排出量を実質ゼロにする「NET ZERO 2035」にコミット」したとのこと。当面の同社の一連の活動はこのコミットメントを完遂することと理解しました。コンクリートの力の凄さを感じます。同社の今後の活躍から目を離せませんね。先ずは同社の一層のご発展を祈念しております。(AS)
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