2025年1月15日水曜日

SyncMOF株式会社

直接空気回収に新素材MOF

回収CO2活用による炭素サイクルの仕組みづくり

 ここに紹介するSyncMOF株式会社(2019年創業、本社:愛知県、以下同社)、その社名にあるMOFとは、Metal Organic Framework(金属有機構造体)を意味する同社事業の中心となる技術を指すようです。MOFとは、金属イオンと有機分子がジャングルジムのように規則的に結合し、内部にナノメートルという超微細な孔をもつ構造体です。

 MOFの孔の大きさは自由に調整可能で、CO2だけを取り込むように孔のサイズを調整できる由。これにより大気中からCO2を分離して取り除く、「直接空気回収(DAC: Direct Air Capture)」が可能となります。MOFに吸着させたCO2は60℃程度の熱を加えるとMOFから分離します。その分離したCO2を植物栽培、例えばイチゴ栽培ハウス内CO2濃度を上げることに利用すると光合成が活発になりイチゴの収穫量が増えることが実証実験で確認されているそうです。

 同社は上述のようなMOFの特性を使ったDAC装置を開発し、イチゴ栽培への貢献のみならず、DACで回収したCO2と水素からメタンガスを作る装置を使い暖房や調理に活用するエネルギー源を確立する実証実験も進めているそうです。このように大気中のCO2を回収し再利用に役立てる「炭素サイクル」の仕組みづくりの中核となるMOF技術は大いに注目したいですね。

 MOFの特性はCO2吸着に留まらず様々な気体に活用できるそうですのでその用途はとても幅広く、同社事業の軸足は顧客ニーズに合わせたMOF選定・加工と装置設計を手掛けることにあるようです。現時点の課題は大規模化にありそうですが、小規模のものを大量に使用することも解決策の一つなのかもしれません。 同社の今後の活躍を祈ります。(AS)

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